いちご好き必見!熊谷で楽しむ、多品種の完熟いちご狩り

みんな大好きな赤い実といえば‘いちご’。
埼玉県は昔からいちご栽培が盛んな地域で、最近では‘プレミアムいちご県’として認定され、おいしいいちごを生産する県としても知られるようになった。
県内各地で甘くて新鮮ないちごが育てられているが、熊谷市もその生産地のひとつ。
特に熊谷市は、冬場の寒暖差が大きく、晴天率も高いのでいちごが甘く育つのに適した環境が整っている。
さらに、農家の丁寧な栽培技術により、みずみずしく濃厚な味わいのいちごが作られているのだ。
今回は‘ストロベリーファームくぼじま’を訪れ、いちご狩りの楽しみ方やこだわりの栽培方法について取材。
ココでしか味わえない、いちごの魅力に迫る。

聞き手:牧野悦子さん(熊谷在住・くまがや食応援大使)

生産者・奥地良啓さん

熊谷市の西部、久保島地区は田畑に囲まれた、のどかな風景が広がる地域である。
ここでいちご狩りと直売を行い、多くの人々に新鮮ないちごを届けている‘ストロベリーファームくぼじま‘の奥地良啓さんにお話を伺った。
園主の奥地さんは岩手県の出身で、もともとは花卉が専門。
花を愛する若手農家でこれまでは花やいちごなどの施設栽培を経験してきた。
その知識と知見を生かし、現在は熊谷で埼玉県のオリジナル品種’あまりん‘をはじめ、多品種の生産に取り組んでいる。
園内の片隅にはムクゲも多数植えられ、季節によってはピンクや白の花を愛でることができる。
お花好きにもたまらない農園だ。

いちごの生産者・奥地良啓さん|晴れまちFARM
いちごの生産者・奥地良啓さん|晴れまちFARM

いちご体験で笑顔をつくる

ハウスの中に案内されると、甘いいちごの香りに包まれ自然と笑顔になり夢心地。
ハウスを見渡すと、見慣れぬ装置にいちごが植付けられている。
奥地さんに聞いてみると「ここでは手動でいちご栽培レーンの高さが変えられる‘いちごステーション’という仕組みでいちごを育てています。
日光をまんべんなく当てることで、光合成が進みおいしいいちごが収穫できるんです」と教えてくれた。
また、「いちご狩りの際、高さを調整することができるため、小さいお子さんでもとりやすくできるんですよ」と笑顔で答えた。

個性のあるいちごを選べる楽しさ

現在ストロベリーファームくぼじまでは、いちご狩り用においCベリーやかおり野、ほしうらら、あきひめ等7種類と直売用に、あまりんやべにたま等、3種のいちごを育てている。
全て奥地さんの気に入った品種のみを育てているという。
いちごを購入する私達からすると、たくさんの品種があるのは選ぶ楽しみが増えて嬉しいが、育てるのたいへんではないかと問いかけると「それぞれの種類に応じた栽培を行う必要があるため、いちごの品種が多くなると管理がかなり難しい」と話す。
やはりたいへんなのだ。
ではなぜ、多品種育てるのかと尋ねると、「いちご狩りの楽しさは自分好みのいちごを見つけられること。いちごは種類によって全く味が違う。お客様の感想を聞きながら、いちごを紹介するのが楽しい。選ぶ楽しさも感じて欲しい。」と奥地さん。
例えば‘あきひめ’は果皮がやわらかく、スーパーでは並ばないので、いちご狩りならではの味と食感が楽しめるそうだ。
「まだまだ紹介したいいちごがあるので、時期を見て新しい品種にチャレンジしたい」と声を弾ませる。

いちごの生産者・奥地良啓さん|晴れまちFARM

良品をつくるためのこだわり

ところで、奥地さんが一番好きないちごは何かと尋ねると、「おいCベリー」と答えてくれた。
おいCベリーはビタミンCが豊富でおいしいいちごとして名付けられ、スーパー等ではあまり見かけない品種。
「このいちごは香りやコクがある。今後はコクのあるいちごをもっと育てていきたい」と意気込む。
取材中、いちご数種類を特別に試食させていただいた。それぞれ個性があり、食感や味わいが違う。甘み、香り、酸味、コク…とれたてはやはり美味しい。ちなみに収穫したいちごは追熟しない。完熟のいちごを農場で食べるのがいちばんうまいというわけだ。
また、おいしいいちご作りの秘訣は?と尋ねると、「いちごの種類によって育て方を変えること。肥料や水のあげ方も変える」と言う。さらにおいしいいちごの見分け方を伺うと、「赤く色づきが良く、ツヤのあるいちごが良品。
取り頃がわからなかったら、聞いてほしい」と笑顔。
続けて、「早生、中生など、いちごによって実がなる時期も違うので、いちご狩りで味わえるいちごの種類も変わる。これもいちご狩りの楽しみの一つ」と教えてくれた。丁寧に答えてくれる奥地さんの案内ならばいちごがよりおいしくなりそうだ。

いちごで笑顔をつくるための挑戦は続く

ストロベリーファームくぼじまがある場所は街道に近く、立ち寄りやすい。のぼりを立てたことで、見つけられやすくなり新規のお客様が増えたという。
直売所に並べられたいちごには品種名のシールが貼られ、贈られた人にも配慮されたパッケージで出迎えてくれる。
「今後もお客様のニーズに応え、小粒のいちごや酸っぱいいちごなども揃えていきたい。埼玉であまり作っていないいちごも作ってみたい」とお客様ファーストの気構えだ。
今後どんないちごが栽培されるのか、楽しみはまだまだ続く。

「熊谷でいちごを作っているのは縁とタイミング」と話す奥地さん。
出会いはまさに‘いちごいちえ‘。きっとこれからもいちごで人と人との縁を繋ぎ、おいしいいちごを提供してくれるに違いない。
今後はいちごハウスの拡大も検討中とのこと。品種も栽培方法も変化していくことだろう。
「いちごは幅広い年齢層に人気があり、人を笑顔にする食べ物」と話す奥地さんの笑顔が印象的だった。
花が咲き、花を愛する園主がいるいちご園。
他では味わえないいちご体験を熊谷で感じて欲しい。

取材風景(左:牧野悦子さん/右:奥地良啓さん)
生産物いちご
取材対象奥地良啓さん(ストロベリーファームくぼじま)
所在地熊谷市久保島323
Webhttps://www.instagram.com/new.strawberryfarm_kubojima/
市内で買える場所ストロベリーファームくぼじま